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文化用水・木島用水〔下巻〕

上巻に続き、今回は文化用水(木島用水)の下流側を紹介します。
文化2年(1805)に、御成橋の南から黒川から取水して、鹿沼宿の東側を流れる用水路の工事が始まりました。完成した用水は年号から「文化用水」と呼ばれました。明治になり、御成橋町の木島文次郎が取水口を堅牢に改修したことから、人々はその堰を「木島堰」、用水を「木島用水」「木島堀」と呼ぶようになりました。図1の緑色が文化用水(木島用水)です。本記事ではこの用水路を「木島用水」と呼んで説明します。

木島用水流路
▲図 1 「五弁天と用水路を入れた地形図」から抜粋(叢書10 鹿沼の絵図・地図)

上巻では、下田町の酒屋西側(下田町2丁目と東末広町の境)で3つに分岐するまでを紹介しました。下巻では、分岐後の西堀、中堀、東堀の様子をそれぞれ紹介します。
 
末広橋から南下した用水は、蝉ヶ渕稲荷の横を通り、寿司屋の横を抜けて旧五軒町付近を通過、酒屋の裏に出ます。ここで、道幅が広がった古峯通りの手前、酒屋の西側(下田町2丁目と東末広町の境)で用水は3つに分かれます(画像19)。見た目は二つですが、実は左の水路がさらに二つに分かれて一つは東小学校の方へ流れていきます(画像20左の水路)。それを東堀(ひがしっぽり)または「むこうはじっぽり」、画像20の右の水路を中堀(なかっぽり)、画像19の右の水路を西堀(にしっぽり)または「こちはじっぽり」と呼んでいます。東堀は住宅街を抜けた後、貝島街道黒川に注ぎます。中堀、西堀は、住宅街の中を流れていきます。

ここから先はそれぞれの水路をたどります。

古峯通り手前の酒屋西側
▲画像19 古峯通り手前の酒屋西側。右が西堀、左が中堀と東堀

古峯通り手前の酒屋西側(拡大)
▲画像20 左の水路はさらに二つ(東堀、中堀)に分かれる

西堀

道路をくぐると、用水は暗渠(蓋をされた水路)となり、歩道の下を流れていきます(画像21)。歩道に並ぶマンホールやグレーチング(水が抜ける側溝蓋)が下に水路があることを示しています(画像22)。用水は暗渠のまま上都賀病院の東を下ります。そして、そのまま貝島街道を横切ります。

西堀は歩道の下を流れる
▲画像21 西堀は歩道の下を流れる

グレーチングが並んでいるので暗渠とわかる
▲画像22 グレーチングが並んでいるので暗渠とわかる

上都賀病院東側を暗渠のまま通過
▲画像23 上都賀病院東側を暗渠のまま通過

暗渠のまま貝島街道を横切る
▲画像24 暗渠のまま貝島街道を横切る

貝島街道南の住宅を過ぎると、水路の蓋はなくなり開渠となります。そのまま鹿沼高校西側まで下り、弓道場の横で分岐します(画像26)。
直進南下する水路は、暗渠となって新鹿沼駅前通りをくぐり、住宅の間を抜けて、藤沢皮膚科方面から来る別の水路と合流(画像28)し、暗渠のまま南進してJAかみつが東(画像29)からその南の住宅街を抜け(画像30)、押原神社の東を通って上殿地内まで南下します。

住宅の南は開渠
▲画像25 住宅の南は開渠(蓋のない水路)

鹿高弓道場西で分流
▲画像26 鹿高弓道場西で分流

新鹿沼駅前通りをくぐって住宅街を流れる
▲画像27 新鹿沼駅前通りをくぐって住宅街を流れる

藤沢皮膚科側からの水路に合流
▲画像28 藤沢皮膚科側からの水路に合流

JAかみつが横の暗渠サイン
▲画像29 JAかみつが横の暗渠サイン

暗渠となり住宅街を流れる
▲画像30 暗渠となり住宅街を流れる

東に折れて弓道場の下をくぐった水路は、鹿沼高校のプールと体育館の間を通り(画像31)東進、敷地に沿って南に向きを変え、野球場バックネット裏を通って南下します(画像32)。この間は一部暗渠になっていますが、ほぼ水面が見える状態で流れていきます。鹿高とカンセキの間の道路をくぐった後も開渠のまま南下を続け(画像33)、突き当たりで左右に分かれます(画像34)。右の水路はJA上都賀方面から流れてくる水路と合流します。その後、一部分岐して南下しますが、残りは画像34の分岐で左に分かれた水路と再び合流します。合流後は道路をくぐり、はなみずき通りの東側を南下します。

鹿高の体育館とプールの間を東進(下流から撮影)
▲画像31 鹿高の体育館とプールの間を東進(下流から撮影)

野球グランド1塁側沿い
▲画像32 野球グランド1塁側沿い

カンセキの南を南下
▲画像33 カンセキの南を南下

画像34 突き当たりで左右に分かれる
▲画像34 突き当たりで左右に分かれる

右の水路はJAかみつが方面からの水路と合流
▲画像35 右の水路はJAかみつが方面からの水路と合流

画像35で合流した水路は画像34で左に分岐した水路と合流し、南下
▲図36 画像35で合流した水路は画像34で左に分岐した水路と合流し、南下

合流後は交差点をくぐる
▲画像37 合流後は交差点をくぐる

はなみずき通りに沿って南下
▲画像38 はなみずき通りに沿って南下

中堀

古峯通りをくぐったあと、開渠のまま住宅の間を南進し(画像39)、はなみずき通り西側を下ります(画像40)。下田町一丁目交差点を斜めにくぐり、セブンイレブン南で姿を現します(画像42)。ここで東に折れて住宅街に入り、再び暗渠になって南進(画像43)、公園西横(画像44)から開渠、暗渠を繰り返しながら南に下った後、公園南の住宅北で東に折れ黒川に注ぎます(画像46)。

住宅の間を南下
▲画像39 住宅の間を南下

はなみずき通りの西側を流れる
▲画像40 はなみずき通りの西側を流れる

交差点からセブンイレブン前は暗渠
▲画像41 交差点からセブンイレブン前は暗渠

セブンイレブン南で姿を現し東進
▲画像42 セブンイレブン南で姿を現し東進

住宅地で暗渠となり右に折れて南進
▲画像43 住宅地で暗渠となり右に折れて南進

公園の西を南進
▲画像44 公園の西を南進

公園南で左に折れ東進
▲画像45 公園南で左に折れ東進

黒川へ注ぐ
▲画像46 黒川へ注ぐ

東堀

酒屋西で分岐後、暗渠のまま東進し、東小校庭の南西角で南に折れて道路をくぐります(画像47)。道路をくぐった後は開渠となり(画像48)、住宅の間を南進します。道路との交差部は暗渠となります(画像49)が、S字に曲がりながら道路を越えると開渠になってさらに南進(画像50)します。駐車場横の水路のくねくね具合に昔の小川の風情が残っています(画像51)。さらに南下すると暗渠となって貝島街道をくぐり、セブンイレブン南から曲がってきた中堀と合流します。

東小南の歩道下を東進
▲画像47 東小南の歩道下を東進

東小南西で道路をくぐると水路が見える
▲画像48 東小南西で道路をくぐると水路が見える

住宅街を下り道路をくぐって出てくる
▲画像49 住宅街を下り道路をくぐって出てくる

駐車場の縁に沿って南下
▲画像50 駐車場の縁に沿って南下

 昔のままくねくね
▲画像51 昔のままくねくね

白い建物の横まで続く
▲画像52 白い建物の横まで続く

道路の下で暗渠となり住宅街へ
▲画像53 道路の下で暗渠となり住宅街へ

木島用水の紹介は以上です。
開渠から、昔の町の様子に思いをはせてみてはいかがでしょう。
 
〔参考文献〕
  • かぬま郷土史散歩(柳田芳男)
  • 鹿沼市叢書10 鹿沼の絵図・地図


ライター Nakky

掲載日 令和3年8月31日

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