皆さんは"アグリ"という意味をご存知ですか?
今回は前回の記事に引き続き、希望の家作業班の一つ「アグリ班」にお邪魔しました。
"アグリ"とは"農業"という意味で、(私は今回初めて知りました)野菜を作ったり、しいたけ栽培や花栽培をする、言わば農業班です。
そんなアグリ班には、
「しいたけ班」と「花卉(かき)班」があります。
まず今回は、「しいたけ班」をご紹介したいと思います。
しいたけ班は、希望の家の施設棟がある場所から少し離れた所にあります。
前回パン工場を見学した日も案内してもらいましたが、強い雨が降っていたので、作業が見られる晴れた日に再度伺わせてもらいました。
今回案内してくださったのは、事務所職員の永見さん。
永見さんと希望の家の事などをお話しさせてもらいながら歩いていくと、前方に森が見えて来ました。
気持ちが森に向かってワクワクしていますが、右横を向いてみると野菜畑がありました。
こちらでは、ネギ、里芋、空芯菜、玉ねぎ、じゃがいもなど(その他季節の野菜)を作っています。
これらは利用者さんがほとんど農薬を使わずに作っています。
そのなかでも里芋は、毎年10月末から11月頃に栃木県主催で開催される栃木県障害者文化祭「カルフルとちぎ こころのつどい」(※ここ数年は新型コロナウィルス感染症により中止となっています。)
で、"いもぐし"1本200円で販売されるそうです。
茹でた里芋に味噌と山椒のタレをかけたいもぐし、美味しそうですねー!食べてみたいです。
野菜畑を見ていると、いつの間にか一輪車を押した利用者さんたちが。
※利用者さんの撮影・掲載許可を施設長にいただいています。
しいたけの原木を運んでいます。
原木の量は個人に任せているそうで、この一輪車もそれぞれ自分のものが決まっているマイ一輪車だそうです。
マイ一輪車だと、運転も慣れているでしょうね!
利用者さんは、このビニールハウスと森とを行ったり来たりしていました。
ビニールハウスの中はこの後ご紹介したいと思います。
利用者さんの後について行きました。
森への入り口です。ワクワク。
森の中に入って行くと、並んだしいたけの原木が見えてきました。
原木は、全部でなんと5万本。
毎年1年間で1万本を入れ替えするそうです。
近寄って見てみると、たくさんの原木が綺麗に並べられていました。
これらは全て利用者さんと職員で並べています。
以前は、職員と利用者さんで山から木を切って原木を作っていました。
しかし、東日本大地震後に栃木県の木はセシウム濃度が高くなって、原木に使用出来なくなった為、九州、中国地方、長野、山梨など他県から買うようになったそうです。
以前に比べて作業は減ったものの、それでも原木を運んでしいたけを作る作業はとても重労働です。
今度は原木を組み立てている利用者さんに近づいてみます。組み立てに慣れているので作業が早いです。
どんどん組み立てていきます。
前からも撮らせてもらいました。
すると…
撮らせてもらった利用者さんは写真が恥ずかしく、変わりに近くにいた利用者さんがポーズをきめてくれました。
こちらは、しいたけ班最年長の利用者さん。
力こぶを見せてくれました。
笑顔と力こぶが素敵です!
ここで、しいたけ班の利用者さんと職員の紹介をしたいと思います。
【利用者さん】15名 20代後半~60代半ば
勤務時間8:30~16:00
【職員】日中職員3名(内1名パート)
交代勤務職員3~4名
勤務時間8:30~17:00
以上の体制でしいたけ班は作業しています。
利用者さんの中には重度の障害のある方もいますが、
この森の中の広々とした所での作業はストレス解消にもなり、体を使った作業をするので夜はぐっすりと眠れるようです。
この日は雨上がりの次の日でとても気持ちが良かったです。こんな素敵な環境、ストレス解消にすごく良さそうですね!
ここでまた原木に近づいてみます。
小さな穴が何やらありました。
これは"種駒(たねごま)"を入れたあとです。
※種駒(長さ2cm位の円筒形の木片に、きのこの菌糸培養したもの)
毎年、1月から3月に植菌作業(原木に種菌を植え付けること)をやります。
種駒は原木にドリルで穴を開け、そこに木づちで植え付けます。
植え付けた原木は1年半~2年位は直射日光を避けた場所に置きます。
次に、大きな水槽に原木を入れます。
水に1日浸します。
これは早くしいたけが出来るように刺激を与え、発生に必要な水分を含ませます。
次に、最初に紹介したビニールハウスに戻します。
水に浸けた原木はビニールハウスに移動して、しいたけの芽の発芽を促します。
すると奥では…
しいたけの収穫をしているみたいです。さっそく近くに行ってみたいと思います。
職員と利用者さんで収穫していましたが、カゴにしいたけがたくさん!
綺麗なしいたけに大興奮です!
焼いてバター醤油で食べたら美味しそう。
もう、食べたい気持ちでいっぱいでした。
食べる事を考えている私とは打って変わって、利用者さんは真剣に原木についてるしいたけを隅々まで探して収穫しています。
1本の原木にこんなにたくさんのしいたけが。
ちょっと取ってみたくなります。
右はまだしいたけが出てきていない原木と
左はしいたけが出てきている原木。
違いがすごく分かりますね。
収穫したしいたけは大体同じ大きさ。
利用者さんが、大きさも見ながら取っていると教えてくれました。
また、使っている原木もナラの木だと教えてくれました。
自分のやっている作業の内容など、詳しく把握しています。
かわいいハートのしいたけも。
収穫したしいたけは、パック詰めされて出荷します。
出荷場所は、
宇都宮青果市場
農産直売所 あぜみち 鹿沼店
農産直売所 あぜみち 戸祭店
農産直売所 あぜみち 西川田店
などで、
宇都宮青果市場は、スーパーに卸すそうです。
スーパーで売っているラベルには希望の家の明記がされているそうなので、ぜひ見つけてみてください!
そして、希望の家では毎週水曜日(野菜の採れる時期などにも左右されます)に事務所玄関入り口でしいたけや畑で採れた野菜を販売しています。
希望の家の利用者さんの保護者向けだそうですが、一般の方も買う事が出来ます。
私も水曜日に希望の家に行く用事があり、しいたけとたくさんの野菜を買う事ができ、干し椎茸(300円)以外はすべて100円でした。
希望の家の皆さんが作った新鮮な野菜をお得に買えてとても嬉しかったです!
さっそく夜は希望の家の玉ねぎとしいたけを使ってミートソースを作りました。
しいたけと玉ねぎをたっぷり入れ、湯むきしたトマトと挽肉も入れて煮込みました。
美味しかったです!
最後に。
梅雨の晴れ間に伺わせてもらいましたが、日向にいると暑い日でした。
そんな中、利用者さんは原木を乗せた一輪車を押しながら笑顔を見せてくれました。
重労働ではありますが、広々とした環境で皆さんのびのび作業を行っているという印象を受けました。
(後方に見える方たちは生きがいA班の方達)
高齢者の方々がいる生きがい班の方達も足腰が弱らないように、天気のいい日は散歩に来るそうです。
このように、自然豊かな環境で過ごしている利用者さん達は、皆さん顔が明るく感じました。
数時間ではありますが、本当に来てよかったと思いました。また、施設を案内してもらい、作業する場面を見られた事がすごく嬉しかったです。
「しいたけが出来るまで」と、「利用者さんの作業」も知る事ができ、とても貴重な体験をさせてもらえました。
本当にありがとうございました。
次はまた希望の家、花の作業班「花卉班」の紹介をしたいと思います。
では、また!
【社会福祉法人希望の家】
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ライター mari.mari