【AWANO夢咲くARTFESTIVAL〜旧粟野中学校・作品紹介編〜】
そして次の日の日曜日。
アート好きな友達を誘って、旧粟野中学校にやってきました。
昨日の絵は、気づいてもらえたかな...
ソワソワワクワク。
ちょうど校舎の入り口に主催者の田中茂先生がいらっしゃいました。
黒板を見ていただけたか確認したところ、スタッフが片付けてしまったとの事。
しかし片付けた机の上から、田中先生が見つけだしてくださいました。
ご自身の似顔絵だと分かると、とても喜んでくださいました。
嬉しい!
私が描いた絵と記念撮影までしてくださいました。
先生、ありがとうございました。
この日は作家さんの絵をじっくり見ようと決めてきた日です。
粟野アートフェスティバル2024の作品をとても楽しみにして来ました。
まず最初に、1階の踊り場にあった大きな絵。
星美加さんの作品です。
女性が移り行く様子の絵。
優しく温かく懐かしさが感じられる絵です。
この作品ですが、10月に国立新美術館の二紀展に行った時に展示してありました。
この粟野アートフェスティバルに来るとは知らず、印象に残った絵だったので、撮影していました。
今回の粟野アートフェスティバルの公式Instagramを見て、
"どこかで見た事のある絵だなぁ"と
携帯電話の写真データを確認したところ、フォルダから見つけました。
国立新美術館では縦に並んでいた2枚の絵が
粟野アートフェスティバルでは、横に繋げて1枚の絵になる事を初めて知りました。
こうして繋がっている絵を見ると、また違った印象に見えます。
女性の一生は一瞬で儚いけれど、日々過ごしてきた思い出は決して色褪せない。
まるで、この絵と旧粟野中学校のようで、この場所の雰囲気に良く合いました。
感動を胸に、古いけれど温かみのある木造の階段を一段一段上って2階に行ってみると、星さんの作品にまた出会えました。
とても嬉しい。
可愛らしい桃色の壁に小さな女の子
爽やかなブルーの壁に思春期の女の子
この二人の女の子。成長する様子が描かれているのかな。とても好きな感じの絵です。
こちらの二枚の作品は、合わせても繋がってはいないように見えますが、場面が似ています。
同じ雰囲気を纏っている絵。
タイトルを見てくれば良かった。
角度を変えて見るとまた見方が変わります。
星美加さんの作品(右)
2022年新春二紀展東京都美術館にて。
この時から好きな作品なので、写真に収めていました。
今回、粟野アートフェスティバルで星さんの作品も見ることができて本当に良かったです。
またどこかの会場で作品にお会いできますように。
次にご紹介するのは
望月昭伸さんの作品です。
題名生きとし生けるもの
一瞬で絵の中に引き込まれるとはこういう事かと、感じられる作品です。
男たちの表情、
燻っているタバコの火、
老婆が持つ蝋燭の凛とした炎、
壁の家族写真、
壁に撃ち込まれた弾丸の跡。
この1枚の絵にどれだけの物語があるのだろう。
想像を掻き立てられる絵です。
この作品に出会ったのは2023年の新春二紀展
東京都美術館。
こちらで見た時にも衝撃を受け、しばらく絵の前で足を止めました。
この絵も私の携帯写真データに保存されていました。
母の影響で、1年に数回は美術館や展覧会に足を運ぶので、数百点以上の作品を見る機会があります。
その中から唯一、写真に残したくて撮ってきた作品がこの粟野アートフェスティバルに来ています。
私としては大興奮です。
旧粟野中学校の崩れた壁さえも、この絵の一部になっているかのようです。
もしまだこの旧粟野中学校が学校として使われていて、教室にこの絵が飾られていたらどうでしょう。
どんな感性の子達が育つのかな。
望月さんの世界、みなさんはどう感じましたか?
次にまた作品に出会える日まで、楽しみにしています。
また出会えますように。
さて、廊下を出て次の教室には
顔慧さんの作品です。
あ、カツオノエボシだ...
この作品は"クラゲだ"とすぐにピンときました。
中学生の頃に、海で刺された事があるからです。
海に浮いていた、青いビニール袋みたいなもの。その時はただ綺麗だなと眺めていました。
履いていたズボンを膝まで捲り上げ、海で遊んでいると...
急に何かが足のふくらはぎに張り付きました。
そして痺れるような激しい痛みが。
先程まで綺麗だと眺めていたビニール袋のようなものが足に張り付いていました。
生きている生物だと、この時初めて分かりました。
近くにいた父が急いでむしり取ってくれたものの、
ちぎれた生き物は、まだ私の足に吸い付くように張り付いていています。
手で取り除く事が無理だと判断した父が歯で噛み切り、ようやく生き物を足から剥がす事ができました。
しかし私は張り付かれた足側の半身が痺れ、頭痛も。父のくちびるは腫れ上がりました。
海の家に駆け込むと、先ほどの生き物は猛毒のカツオノエボシだという事が判明。
手渡されたアンモニアで父が私の足を消毒してくれ、安静にしている内に容態も治まってきました。
このクラゲのオブジェを見て走馬灯の様に、あの時の出来事が頭をよぎりました。
私にとって、忘れられない出来事。
そして特別な思い入れのある生き物。
作品であるカツオの烏帽子は猛毒である事を忘れさせ、こうして美しい姿で私たちを魅了してくれる。
この作品がSNS内で広まっているのを目にしました。
それほどインパクトがあり魅力的な作品なんだと改めて感じました。
つづいて、こちらも顔慧さんの作品です。
今年10月に国立新美術館で行われた二紀展でも、見させていただきました。
数多くの作品からこちらの作品がひときわ印象に残っていて、一緒に行った妹とも感想を言い合った事も覚えています。
顔慧さんの世界観はいかがでしたか?
美しくも上品で、しかし力強くこちらに伝えてくる作品です。
また出会えますように。
さあ、次は主催者で彫刻家の田中茂先生の作品で、
ばけそこシリーズです。
先生の作品には、『化けそこなった』と題名が付いているシリーズがあり、人気の作品です。
手と足がにょきっと飛び出していますが、今ひとつ何かになりきれていない、なりきれなかった...
そんな風な事を作品から感じ取ることができますが
なんだかそれがお茶目で、私はばけそこシリーズが好きです。
こちらは、
化けそこなった狸~月下に想う~
横から見ると物思いにふけている様子に見えます。
が...
正面から見ると、微笑んでいる様にも見えます。
角度によってまったく印象が変わるのが面白い。
長く伸びた身体の一部。
いったい何に化けそこなったのかな...
今年10月の国立新美術館二紀展にて。
田中先生の作品は動物が化けきれなかった作品が多いですが、どこか憎めなく、親しみやすい人間味のある作品が多く、見ていて楽しいです。
ふいに展覧会などで先生の作品を見つけるとホッとするというか安心します。
そんな温かい作品がたくさん。
また近々、作品に出会えますように。
次の作品は、旧粟野中学校でも離れの教室にあった
この作品。
本郷芳哉さんの作品です。
存在感。
圧倒的存在感。
少し離れたところには、存在感を消す作品。
人に例えたらどうだろう。
存在感をアピールしたい
閉じこもっていたい
どちらも人が持っている感情で、
それをこの作品で表現している様に私は思いました。
ここで、校舎外の作品もご紹介します。
改 鉄成さんの作品です。
校舎入り口の横に、ひときわ存在感のある作品。
通り過ぎることなんて、ありません。
こちらも絶対的な存在感。
10月に国立新美術館の二紀展で見たときにも抜群の迫力と存在感を放っていました。
旧粟野中学校の校庭にあると、まるでこの学校を守るかの様な存在に見えます。
お寺で言うと、仁王像の様な役割。
こんな守神がいてくれたら心強いですよね。
校舎内には、まだまだ素敵な作品がたくさんありました。
校舎内にも、懐かしい物がたくさんありました。
私が中学生の頃に使っていたものが多々見られ、友達とアルコールランプを見ては興奮し、天秤をみてはまたまた興奮し、懐かしさを存分に味わいました。
こういうのを今の時代の若者は"エモい"というのかしら?
私はただただ懐かしかったな。
みなさんはどうですか?
エモい?
懐かしい?
ここまで勢いで記事を書きましたが、少し心苦しい事が。
実は去年、医王寺の記事を書いた時に、来年は粟野アートフェスティバルの立ち上げの様子から開催後までを記事に書きますと、田中先生に宣言していました。
しかし実行できず、今回は特派員記事を書く事が出来ないな...と思ったのです。
後から感想のみを記事に書く事に躊躇いました。
いいとこ取りではないかと。
しかし、この粟野アートフェスティバルに来てみたら、
あまりの素晴らしさに感動し、居ても立っても居られず田中先生に記事を書かせてくださいとお願いしていました。
田中先生は、鹿沼市の魅力発信に繋がるのであればと、快く承諾して下さいました。
作家さん達は一つの作品を創り上げるのに、少なくとも数ヶ月、数年の時間を費やして作品を完成させます。
田中先生はじめ実行委員のみなさんも、アートフェスティバルが終わるとすぐに次の年のアートフェスティバルに向けて動き出します。
こうして創られた粟野アートフェスティバル。
今年も本当に感動しました。
そして、とても楽しむことができました。
本当に楽しかった!その一言に尽きます。
来年は、ぜひ県外の友達をこの粟野アートフェスティバルに呼んで案内したい。
より広く、このイベントを広めたい。
そして、また特派員記事を書けたらいいなと、私も1年後の目標をたてました。
田中茂先生の絵でメッセージを。
田中茂先生の作品を末広製菓さんがクッキーにした
"ばけそこクッキー"
ばけそこクッキーをラテアートに。
粟野アートフェスティバル、旧粟野中学校編は
以上です。
他会場の特派員記事に続く。
■末広製菓
Instagram @suehiro_seika
ライター mari.mari