絵画用語解説
絹本・紙本(けんぽん・しほん)
書画を描くために用いられた素材のこと。絹本は絹、紙本は紙に描かれています。
著色(ちゃくしょく)
着色に同じ、彩色されていることです。
墨画(ぼくが)
墨で描かれた画すなわち水墨画のことです。精神性を重視し、墨の濃淡だけで表現します。8世紀後半の中国に始まり、初めは山水画(さんすいが)を中心に発達しましたが、次第に花鳥などほかの題材も描かれるようになりました。日本へは禅僧の渡来とともに伝わり、15世紀室町時代に確立しました。
淡彩(たんさい)
一般的には薄くあっさりと色どること、またその彩色を意味しますが、墨画淡彩などというように、水墨画に部分的に色を施したものについてもいいます。
北宗画(ほくしゅうが)
明末の画家董其昌(とうきしょう)によって提唱された中国の画系の一つで、唐の李思訓(りしくん)に始まり、南宋(なんそう)の馬遠(ばえん)・夏珪(かけい)らを経て明の浙派(せっぱ)に至る系譜とされています。鋭い墨線や、斧劈皴(ふへきしゅん)を用いた岩石の表現などによって、厳格な画風を形成しました。雪舟(せっしゅう)をはじめ室町時代の水墨画にも大きな影響を与えました。これに対するのは南宗画(なんしゅうが)で、唐の王維(おうい)を祖とし、董源(とうげん)・巨然(きょねん)・米■(べいふつ)・米友仁(べいゆうじん)らを経て、元(げん)代の黄公望(こうこうぼう)・王蒙(おうもう)らに至るとされています。のびのびとした穏やかな画風が特色です。
南画(なんが)
明清時代の南宗画の画風や理論に触発されておこった様式で、江戸時代の中頃に登場し、江戸時代末にはほぼ全国に流行しました。中国の文人士大夫(したいふ)の生活を理想とする画家たちが展開した、教養性と精神性に富んだ画風です。池大雅(いけのたいが)・与謝蕪村(よさぶそん)・浦上玉堂(うらがみぎょくどう)・渡辺崋山(かざん)らを輩出し、江戸絵画史上に大きな足跡を残しています。
文人画(ぶんじんが)
文人画とは、本来職業画家でない中国の士大夫が、金銭や生活の糧を得るためでなく、純粋に精神の表現として描く画を意味しています。しかし日本の文人画の多くは、専門の職業画家や半職業画家的な人々によって描かれました。日本では、文人画と南画はほとんど同義語として使用されています。
皴法(しゅんぽう)
水墨画で、山岳・土坡(どは)・岩塊・樹木などの凹凸や量感を表現するための技法です。斧劈皴は斧(おの)で割った木のような形をしていて、北宗画の岩石の表現に用いられました。ほぐした麻を思わせる披麻皴(ひましゅん)は、文人画家がよく用いました。そのほか、さまざまな種類の皴が生み出されています。
米点(べいてん)
皴法の一つで、筆を横に寝かせて墨点を打ち、山岳・樹石を描きました。雨点皴(うてんしゅん)ともいいます。唐の王維が始めたとされますが、北宋(ほくそう)の米■(べいふつ)が多用したのでこの名でも呼ばれるようになりました。
渇筆(かっぴつ)
線や皴を描くとき、かすれによって質感を表現する筆法で、強さなどが表現されます。
側筆(そくひつ)
筆の腹を使って描く筆法のこと。